こんにちは、白潟敏朗です。
「1on1ミーティング」のメリット、今回は上司にとってのメリットについて解説します。
1on1ミーティングの上司にとっての7つのメリット
上司と部下による1対1の面談である1on1ミーティングを実践する上司にとってのメリットは何なのか?
色々なメリットがありますが、ここでは代表的な7つのメリットを紹介します。
そして、このメリットが、実は多くの企業がが1on1ミーティングを導入する目的でもあります。
また、これらのメリットは、単なる研修やセミナーでは、なかなか享受できないものです。
① 上司と部下のコミュニケーションの改善
② 上司と部下の相互理解の向上
③ 上司と部下の信頼関係の向上
④ 部下のモチベーションアップ/維持
⑤ 仕事上の課題と部下が抱えている課題の解決
⑥ 退職率/メンタル休職率の低下
⑦ 部下の成長と自立・自走
まずは、メリット①から解説していきます。
初めはいやだ! でも次は喜んで!
1on1ミーティングは上司と部下の1対1のミーティングです。
1on1ミーティングで上司と部下のコミュニケーションは改善されます。
多くの事例でも証明されていますが、そのメリットを得るための進め方は、会社が1on1ミーティングを強制的に推進する方法です。
忙しくてなかなか部下と話す時間がとれない上司や、部下とのコミュニケーションを億劫に感じている上司も会社からの強制なので部下とミーティングをせざるを得なくなります。
会社によっては、1on1ミーティングの実施を上司の評価項目に定めている企業もあるほどです。
最初はやらされ感満載でやってみましょう。
最初の1on1ミーティングで上司が部下の悩みやおもいをじっくり聴いてあげると部下はとても喜びます。
特に、今まで上司に話を聴いてもらう機会が少なかった部下ほど満足度は高まります。
重要なのは研修などの非日常的な空間ではなく、日常的に定期的にこのコミュニケーションの場を設けていくことです。
おそらく『〇〇マネジャー!今日は私の話を聴いてくれてありがとうございます』と上司に感謝するでしょう。
感謝された上司も嬉しくなるので、最初はいやいやで実施した1on1ミーティングをもう少しやってみようかなと感じ、1on1ミーティングが継続されていきます。
その結果、上司と部下のコミュニケーションも増えていきます。もちろん、1on1ミーティングで部下の話をじっくり聴いてあげないとこのメリットは得られません。
上司と部下のコミュニケーションが十分でなかった会社や上司は、毎週30分か1時間、1on1ミーティングを実施してはいかがでしょうか?そうすることで、コミュニケーションがより改善されます。
上司の自己開示で、部下の上司に対する理解が深まる!
つぎにメリット②を解説します。
1on1ミーティングを実施すると上司と部下の相互理解が深まります。
上司が部下を深く理解できるメリットはイメージが沸くと思いますが、部下が上司を理解できるメリットには疑問を持たれる方がいると思います。しかしながら、この隠されたメリットは多くの事例でも証明されているメリットなのです。
実は、1on1ミーティングでは2つの側面で部下が上司を理解できるようになります。
① 上司の素晴らしさを改めて認識できます
・1on1ミーティングで上司が部下の悩みやおもいをじっくり聴いてあげると、部下は『自分の話をじっくり聴いてくれるいい上司』だと評価するでしょう。
・1on1ミーティングで上司から質問され考えさせられることで、部下は『自分に考えさせることで、自分を成長させてくれる尊敬できる上司』だと評価するでしょう。
・1on1ミーティングで上司が部下のキャリアや成長について一緒に考えてくれることで、部下は『自分のキャリアや成長のことを真剣に考えてくれる最高の上司』だと評価するでしょう。
② 上司の自己開示により上司のことを深く知ることができます
・1on1ミーティング中に、上司の苦労談や失敗談を聴け上司に、より親近感を持ちます。
・1on1ミーティング中に、上司が言いたく無い話や恥ずかしい話を部下にすることで、部下がより上司を好きになります。
いかがでしたでしょうか?
1on1ミーティングでは上司が部下のことを深く知れるだけでなく、上司の自己開示により部下も上司のことを深く理解できるようになるのです。
もちろん、1on1ミーティングで上司が自分のことを部下に話すことは前提になります。
この効果は、社内で実施するコミュニケーション研修やセミナーでは、なかなか得難い効果です。
部下の話を上司がじっくり聴くことで、上司の信頼度アップ!
つぎにメリット③を解説します。
1on1ミーティングを実施すると上司と部下の信頼関係が向上します。
メリット②で紹介した上司と部下の相互理解が深まれば、当たり前のことですが、お互いの信頼関係も向上してきます。
さらに、1on1ミーティングで上司が部下の話をじっくり聴くと上司には以下の3つのメリットが得られます。
① 部下の要望・悩み・考えが把握できる
② 部下が喜ぶ・満足する・嬉しくなる
③ 部下に好かれる・信頼される
上司が部下の話を聴けば聴くほど、部下は上司のことを好きになり信頼していくようになります。
一方、上司からすると部下の理解が深まり、部下に対する誤解が解けることもあるでしょう。
1on1ミーティングで部下が上司にやると約束した事をしっかり実践してくれば、上司は部下をより信頼するでしょう。
部下の話を上司がじっくり聴くことで、部下のモチベーションもアップ!
つぎにメリット④を解説します。
ここまで紹介したメリット①から③で上司と部下のコミュニケーションが改善し、 お互いの相互理解が深まり信頼関係も向上することが理解できたと思います。
1on1ミーティングで上司から話を聴いてもらうことで部下は少しだけモチベーションが上がりますし、下がることは無くなるでしょう。
さらに、部下は上司に遠慮なく質問や相談ができるようになり、モチベーションを維持できます。
「モチベーションアップ」をテーマとした様々な研修やセミナーもありますが、
何といっても会社内での日ごろのコミュニケーションが最も大切です。
部下は仕事をしながら色々な不安や疑問を持ちます。
すぐ解消しなければいけない場合は、上司にすぐ質問し都度解決をしていきます。
一方、緊急性や重要性が大きくない不安や疑問は、そのままになりがちです。
1on1ミーティングを定期的にやっていると、そのような不安や疑問を次回の1on1ミーティングで上司に相談できる機会が増えます。
これも、多くの事例が証明していますが、部下のモチベーション維持に役立ちます。
1on1ミーティングやればやるほど、部下の悩みや不安が解決!
つぎにメリット⑤を解説します。
1on1ミーティングを何回か実施することで、部下は仕事を進める上での課題を上司にじっくり聴いてもらう機会が増えます。
聴いてもらいながら、上司と一緒にその課題の解決策を考え実行することで、仕事上の課題は解決できます。
仕事を進める上での課題は上司に相談しやすいですが、先輩や同僚との人間関係の悩みや自分の将来の不安等はなかなかは上司に相談できません。
1on1ミーティングを何回も重ねるうちに、メリット②・③で紹介した上司と部下の相互理解が深まり信頼関係が向上してきます。
そうすると、相談しにくい悩みや不安も上司に相談しやすくなり、部下が抱えている悩みや不安も解消できます。
1on1ミーティングで退職率とメンタル休職率の低下!
つぎにメリット⑥を解説します。
1on1ミーティングは退職率やメンタル休職率を低下できます。
これは、おそらく1on1ミーティングを正しく実施した際に最も目に見えてわかりやすい効果でもあります。
退職率の低下から解説いたします。
メリット①から⑤で紹介いたしましたが、1on1ミーティングを実施すると、上司と部下のコミュニケーションが増え、
その結果、上司と部下の相互理解が深まり信頼関係も向上します。
そして、さらに部下の仕事上の課題や抱えている悩みも解決でき部下のモチベーションがあがります。
このようなメリットが得られると、当然ですが部下は辞めなくなりますし、部下が退職を考え始めた時に部下の悩みや不安が把握・解決でき事前に退職防止ができます。
もちろん、1on1ミーティングを正しく実施できる上司でなければ退職率は低下しません。
具体的には以下の4つを上司がしっかり実践できていると退職率低下のメリットが得られると思います。
この4つは1on1ミーティングの進め方を学ぶよりも優先されるべき前提条件です。
①部下の話を最後までじっくり聴いてあげる
②部下の話を聴いた直後に否定しない
③部下の話を聴いた後に、自分の考えを押しつけない
④部下に答えを教えず、質問で考えさせる
メンタル休職率の低下を解説いたします。
1on1ミーティングの初めに、体調確認をすると心身の健康チェックができます。
具体的には、1on1ミーティングの最初の3分くらいで、部下に以下のような質問をし部下の体調を確認します。
・ 最近、よく眠れていますか?
・ 体調はいかがですか?
・ 最近、疲れがたまってないですか?
1on1ミーティングの体調確認の質問で部下の体調不良に気づくことができれば、早めに手を打つことができます。
そうすることでメンタルが原因の休職者を減らすことができます。
1on1ミーティングの進ま方に悩んでいる方は、まず、体調確認から始めてみてください。
1on1ミーティング継続で部下の成長と自立・自走!
最後にメリット⑦を解説します。
1on1ミーティングを何回も実施することで、部下が成長し気がついたら自立・自走しています。
このメリットは簡単には得られませんが、アクティブリスニング(積極的傾聴)が実践でき、質問によるコーチングができる上司であれば、部下は1on1ミーティングでどんどん成長していきます。
具体的な成長イメージを以下に示します。
ステップ1:部下が自分で考える
1on1ミーティングで、部下からの質問や相談に上司が答えを教えず『〇〇さんはどう思うの?』、『〇〇さんはどうしたいの?』と切り替えすことで、部下は自分で考えるようになります。
もちろん、『〇〇さんはどう思うの?』の質問の後に部下が『わかりません』と言っても、答えは教えません。
『時間を上げるから、この紙に答えを考えて?』のように部下に考えさせることが重要です。
ステップ2:部下が自分で本質的な課題を把握できる
上司が答えを教えず部下が自分で考えるようになってくると、部下は多くの課題を列挙できるようになります。
その課題のなかから、『この課題が無くなれば全ての課題が解決できる?』等の質問をし本質的な課題を把握するトレーニングをしてあげると、部下は自分で本質的な課題を把握できるようになります。
ステップ3:部下が自分で本質的な課題の解決策を考える
ステップ2で本質的な課題を把握できるようになってくると、いよいよその解決策の立案トレーニングを1on1ミーティングでやります。
部下の知識が足りない場合は、知識の修得方法だけを教え自分で解決策を考えるようにさせます。
部下の経験が足りない場合は、『その解決策の効果は? リスクは?』等のコーチングをしてあげ、自分で有効な解決策を考えられるようにしてあげます。
ステップ4:部下が自分で課題の解決策を実行しPDCAが回せる
ステップ3で立案した解決策を実行し、次の1on1ミーティングで上司とその結果をチェックします。
効果がでなかった場合、原因を部下に考えさせ次の解決策を立案し実行にうつさせます。
解決策実行のチェック(C)と次の解決策立案であるアクト(A)を1on1ミーティングで実施することで、上司は部下のPDCAを回すサポートをします。
ステップ5:部下が上司の力を借りずに自己PDCAがまわせる(自走できる)
部下がステップ4を上司の力を借りずに実現できてくると、自分でPDCAを回せるようになります。
そうなってくると、1on1ミーティングは部下が考えた原因や解決策の検証の場になります。
1on1ミーティングで自走した部下に、コーチである上司が伴走するような状態です。
ここまでくれば部下は完全自走です。
いかがでしたでしょうか?
最近、注目を浴びている1on1ミーティングにはたくさんのメリットそして効果があります。
ぜひ1on1ミーティングを実践することで、多くのメリットを享受し、上司も部下も成長して頂ければ幸いです。