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1on1ミーティングのデメリットについて

2019.07.29

1on1のポイント

  

こんにちは、白潟敏朗です。

「1on1ミーティング」のデメリットについて解説します。

1on1ミーティングの5つのデメリット

上司と部下による1対1の面談である1on1ミーティングは、部下とのコミュニケーション改善や上司と部下の相互理解が深まる、部下が成長する等多くのメリット(詳細は、こちら)があります。

その一方、多くの事例に触れてわかったのが、1on1ミーティングにはいくつかのデメリットがあることです。
ここでは代表的な5つのデメリットを紹介します。

① 上司と部下双方に負荷がかかる

② 効果が見えにくい

③ 軌道にのるまで時間がかかる

④ 継続的に実施しないと効果がでない

⑤ 人事部門の地道な推進努力が必要

まずは、デメリット①から解説していきます。

  

上司に毎週7時間の負荷?!

1on1ミーティングを実施すると、当然ですが上司と部下双方に負荷がかかります。
1週間に1回1on1ミーティングを1時間やると、上司と部下には1週間に1時間の負荷がかかります。
部下にはそれほどの負荷にはなりませんが、上司には部下の人数分の負荷がかかります。部下が7人いたら1週間に7時間、すなわち約1日分1on1ミーティングをやることになります。

Googleはマネジャー1人に部下7人なので毎週金曜日を1on1ミーティングDAYにしているようです。
 

そのような負荷がかかるのであれば、1on1ミーティングはやらないほうが良いという拙速な判断はしない方がいいと思います。
①開催頻度と実施時間の工夫②メリットとデメリットの比較、この2つを検討された上で1on1ミーティングの実施可否の最終判断をしてください。

① 開催頻度と実施時間の工夫

この問題は、進め方によって回避できる問題です。
毎週1回ではなく、隔週に1回または月に1回1on1ミーティングを実施する方法もあります。理想の実施時間は1回1時間ですが、30分にするのもありです。上司の現状の忙しさを踏まえ決めてください。

② メリットとデメリットの比較

メリットーデメッリト>0この式で最終判断をしてください。
まずはメリットを冒頭でご紹介した1on1ミーティングのメリット一覧を参考に洗い出してください。
デメリットは上記①で決定した1on1ミーティングの開催頻度・実施時間で全体の負荷を把握します。メリットの方が多ければ1on1ミーティングを実施、そうでなければ実施を見送ります。

  

定量的な効果は把握しにくい!

つぎにデメリット②を解説します。

1on1ミーティングは他の取り組みと比べると効果が見えにくいです。広告であればリード獲得数がすぐわかりますし、コストダウンの取り組みも削減効果が定量的に把握できます。

1on1ミーティングを実施しても、すぐ売上が上がったりコストダウンができるような定量的な効果は把握できません。

ただ、直属の上司からすると1on1ミーティングをやって部下のモチベーションが上がった、目つきが変わった等の小さな部下の変化は把握できます。
経営陣や経営幹部に、そのような変化や効果が見えにくいので1on1ミーティングをやめてしまう?1on1ミーティングの優先度をさげてしまう等の意思決定をしがちです。

そのような意思決定はリスクが高いので導入から3ヵ月後に効果の検証をしながら判断した方がいいです。

1on1ミーティングの導入から3ヵ月までは、毎月1回1on1ミーティングの効果を検証します。

具体的には1on1ミーティングを実施した全ての上司を集め、部下の変化や良かった点、悪かった点を聞き、人事部門が意見をまとめ経営陣に報告します。
3回ほど効果を検証し、経営上のマイナスがなければもう3ヵ月継続し再度効果を検証します。
経営上のマイナスが多いようであれば1on1ミーティングをやめる意思決定をします。

  

軌道にのるまで早くて3ヵ月、遅ければ3年かかる!

つぎにデメリット③を解説します。

1on1ミーティングは軌道にのるまで時間がかかります。

ここでの軌道にのるとは「全社員に浸透し、全員が自立・自走できた」状態のことです。
軌道にのるまで社員数20名以下の会社であれば早くて3ヵ月、遅ければ1年くらいはかかると思います。
社員数100名前後の会社であれば早くて1年、遅ければ3年くらいは覚悟しておいた方がいいでしょう。

軌道にのるまで時間がかかるため、小さな成功を積み上げ徐々に拡大し、気がついたら全社に展開できるような進め方がお勧めです。

小さな成功をするためには、以下に示す条件をクリアした上司がいる部門から始めます。

① 部下から信頼されている

② 部下との人間関係ができている

③ 部下の話を最後までじっくり聴いてあげる

④ 部下の話を聴いた直後に否定しない

⑤ 部下の話を聴いた後に、自分の考えを押しつけない

⑥ 部下に質問をすることで、部下に考えさせる

そのような上司がいる部門から始め最初の3ヵ月で小さな成功をし、その後6ヵ月から1年で半分くらいの部下が成長するように推進していきます。

その成功事例を研修などを通して他の部門に拡大し全員の部下の成長を目指していきます。

  

しばらくすると自然消滅?!

つぎにデメリット④を解説します。

1on1ミーティングはご紹介したように効果が見えにくく軌道にのるまで時間がかかるため、しばらくすると自然消滅してしまうリスクがあります。
1on1ミーティングをやりはじめて1回目から2回目は部下が少し喜びモチベーションは上がりますが、上司の期待通りには成長していません。

この段階で1on1ミーティングをやめるのは最悪です。

1カ月経つとコミュニケーションが改善し上司と部下の相互理解が深まり信頼関係も向上します。

ただ、ここでも、部下は上司の期待通りには成長していません。
この段階で、1on1ミーティングは部下の成長にあまり有効でないと判断され、1on1ミーティングをやめたり開催頻度を減らすことも良くないです。

更に1on1ミーティングを継続し、進め方を変えてみましょう。
1on1ミーティングをコーチング方式に変化させていきます。部下が成長できない原因を、質問により部下自身に考えさせます。コーチングの力に不安がある上司は、研修を受けるのも一つの手でしょう。

『どうして成長できていないのかな?』、『〇〇さんはどう思うの?』等の質問が有効です。
部下が成長できない原因を自分で考えるようになってくれば、大きな第一歩が踏み出せます。

その次は、その原因の解決策を部下に考えさせるようにします。『〇〇さんはどうしたいの?』、『〇〇さんはどうすれば解決できると思うの?』、『解決策の効果は?』等の質問が有効です。

このように1on1ミーティングを継続実践していくと3ヵ月くらいで部下の成長がみられるはずです。
上司が部下の成長効果を実感できれば、楽に継続できると思います。

1on1ミーティングは継続しないと効果がでにくい取組みですが、部下を本気で成長させたいというおもいを上司が持ち忍耐強く実践すると、今まで以上に大きな効果がでます。
部下を成長させる取組みにはOJT、研修や社内勉強会等色々ありますが、上司との対話を通じての1on1ミーティングは、そのような取組みよりも数倍の効果があります。

急がば回れという判断もありではないでしょうか。

  

導入前と導入後に人事部門の負荷!

最後に、デメリット⑤を解説します。

1on1ミーティングを導入すると、人事部門にかなりの負荷がかかりますし、成功するためには人事部門の地道な推進努力が必要になります。具体的には以下のような導入準備と導入後のフォローが必要です。

① 1on1ミーティングの導入前

・ 1on1ミーティングの基本ポリシーの検討・作成(経営陣のサポート)

・ 1on1ミーティングの運用ルールの検討・作成(経営陣への提案)

・ 1on1ミーティングのガイドラインの作成

・ 1on1ミーティングの説明会の準備・実施

・ 1on1ミーティングの研修・トレーニングの企画・実施

② 1on1ミーティングの導入後

・ 1回目終了後の上司との振返りミーティングの開催

・ 2回目終了後の上司との振返りミーティングの開催

・ 1カ月後の上司との効果検証ミーティングの開催

・ 2カ月後の上司との効果検証ミーティングの開催

・ 3カ月後の上司との効果検証ミーティングの開催

・ 部下への1on1ミーティングのアセスメント

・ 1on1ミーティングのアセスメント結果の評価と改善

1on1ミーティングを導入すると人事部門には上記の負荷がかかりますが、経営陣が1on1ミーティングを実施すると意思決定したのであれば人事部門が中心となって導入・推進していきましょう。

  

いかがでしたでしょうか?

最近、注目を浴びている1on1ミーティング。

紹介した1on1ミーティングのデメリットを踏まえ、メリットとデメリットを比較しメリットの方が多ければ1on1ミーティングを実施、そうでなければ実施を見送ります。

1on1ミーティングの導入には慎重な検討が重要です。