こんにちは、白潟敏朗です。
「1on1ミーティング」の具体的な進め方について解説します。
1on1ミーティングの具体的な進め方
上司と部下による1対1の面談である1on1ミーティングは、部下とのコミュニケーション改善や上司と部下の相互理解が深まる、部下が成長し自走する等多くのメリット(詳細は、こちら)があります。
それらのメリットを享受するためには、1on1ミーティングをどのように進めてけばいいのか。ここではお勧めの具体的な進め方を紹介します。
ステップ① 部下の体調確認 【2分/30分】※時間の目安
ステップ② 前回の振返り 【3分/30分】
ステップ③ 上司と部下の対話(1on1ミーティングのメイン) 【20分/30分】
ステップ④ 今回のまとめとアクションプランの確認 【5分/30分】
まずは、ステップ①から解説していきます。
体調はいかがですか?
1on1ミーティングは、部下の体調確認から始めましょう。時間は2分くらいで、具体的には部下に以下のような質問をします。
・ 最近、よく眠れていますか?
・ 体調はいかがですか?
・ 最近、疲れがたまってないですか?
・ 今何時くらいに帰っていますか?(把握している場合はきかない)
上記の質問で体調に問題があった場合は、上司や人事部門に相談し医者の診断含め適切な対応をしていきます。
疲れがたまっている場合や帰りが遅い場合は、休みを取らせたり仕事の負荷を減らしてあげます。
前回のアクションプランを実行した?
つぎに、ステップ②を解説します。
2回目以降の1on1ミーティングで必要なステップになります。
このステップを有効にするためには、前回の1on1ミーティングで以下の2つの条件をクリアしておく必要があります。
条件①:前回の1on1ミーティングで把握した部下の課題に対する解決策、すなわち具体的な行動計画(アクションプラン)を作成している。
条件②:前回の1on1ミーティングで記録を作成している
ステップ②は以下の質問から始めます。
質問①:前回作成した行動計画(アクションプラン)を実行した?
質問②:実行した結果は?
質問①の回答で部下が実行していなかった場合は、その理由を聴きましょう。
部下の怠慢で実行できなかった場合には注意し、次から実行できるための取り組みを部下と話し合い決めます。
実行していた場合は、質問②に移ります。
実行した結果、効果がでた場合は部下を認めてあげ継続の可否を決めましょう。
効果が出なかった場合は、その原因を部下と話し合い、行動計画(アクションプラン)を修正または追加しましょう。
何か話したいことありますか?
つぎに、ステップ③を解説します。
いよいよ、1on1ミーティングのメインが始まります。
特に、初回の1on1ミーティングでは何を話していいか悩む方もいると思います。
具体的には以下に示す9つの手順で実施していきましょう。
手順①:始まり → 『何か話したいことありますか?』
まずは、上司が部下に『何か話したいことありますか?』と質問します。
手順②:部下が話始める
部下が話したいことを話し始めます。
上司は、部下の話をさえぎらずに最後までじっくり聴き、部下のおもいや考えが間違っていても否定してはいけません。
部下の話を聴いた後に上司のおもいや考えを押しつけてもだめです。
ここでは、とにかく部下の話を聴くことに徹します。
手順③:部下のおもいや考えをすべて聴きだす → 『他には?』
部下が話終えたら、まだ話したりないかもしれないので『他には?』と質問し、部下の話をすべて聴き出します。
手順④:部下が再度、話始める
部下が、また話し始めますので、引き続きじっくり聴いてあげます。話終えたら手順③に戻り部下の話を全て聴いてあげます。
手順⑤:部下の話をまとめ、部下に確認する
部下がすべて話終わったら、部下のおもいや考えをまとめてあげ部下に確認します。
手順⑥:部下と一緒に解決策を検討する → 『どうしたいの?』
手順⑤までで部下の悩みや課題が明確になっているので、次は悩みや課題の解決策を部下と一緒に考えます。
部下への『どうしたいの?』の質問から始めます。
そうすると、部下は自分なりの解決策を話始めます。その解決策が間違っていても否定せず、『どうしてそう考えたの?』等の質問で、部下の思考を整理してあげます。
手順⑦:部下と一緒に解決策を検証する → 『実行できそう?』、『どんな効果があるかな?』
部下が考えた解決策の検証をします。
部下への『実行できそう?』、『どんな効果があるかな?』等の質問から始めます。
ここで、解決策の実現可能性と効果を検証します。
実現可能性や効果が低い解決策だと部下が気づいた場合は、手順⑥に戻り再度解決策を部下に考えさせ、その解決策の実現可能性と効果を検証します。
手順⑧:(解決策のティーチング)で解決策の決定
手順⑥と⑦を通じ、適切な解決策を設定します。
部下の知識・経験では有効な解決策が立案できなかった場合のみ、上司が少しだけティーチングしてあげ、再度部下に考えさせ解決策をまとめていきます。
手順⑨:解決策をまとめ、部下に確認する
部下と一緒に考えた解決策をまとめてあげ部下に確認し終了です。
『特に話すことありません』への対応!
先ほどの手順①の上司から部下への『何か話したいことありますか?』の質問で、部下から『特に話すことはありません』と言われたらどうしますか?
『あ!そうか!特に話すことがないのであれば終わろうか』と言って1on1ミーティングを終わらせるのもひとつの方法ですが、
その方法だと2回目以降も同じ展開になってしまい、結果的に1on1ミーティングが自然消滅してしまいます。
そうならないためにはどうすればいいのか?
部下が『特に話すことがありません』と言った理由を把握することから始めてみるのがお勧めの方法です。想定される理由は以下の3つになります。
理由①:何を話していいかわからない
理由②:上司に話せる段階ではない(上司と人間関係ができていない)
理由③:上司には話したくない
(上司を信頼していない、上司は話を聴いてくれない、上司から否定される)
まずは、部下が『特に話すことがありません』と言った理由が理由①かどうかを探ります。
以下に示す話すテーマ一覧を部下に見せながら、『この中のどれでもいいから話をしたら?』と言いましょう。
部下が、それでは『会社の戦略についての疑問を聴いてもいいでしょうか?』等と言い、話始めたら理由①の『何を話していいかわからない』だったことが把握できます。
話すテーマ一覧を部下に見せながら、『この中のどれでもいいから話をしたら?』と言っても、部下がまた『特に話すことはありません』と言ったら、理由②か③の可能性があります。
ここで、理由②か③を探るために、上司の自己開示をしましょう。
部下:『特に話すことはありません』
上司:『そっか!特に話すことはないか! では、私の話を聴いてもらってもいいかな?』
部下:『はい』
こんな感じで上司が話せる状況を作り、部下に上司の自己開示をします。
部下に自分のことを知ってもらうために、あまり人に言いたくない話や恥ずかしい話を部下に伝えます。
参考までに、自己開示用のテンプレートを以下に示します。
上司:『実は、小学校のころいじめられていて、学校に行きたくないと思ったことが何回もあったんだよ』
部下:『えーーー!そうだったんですか・・・!大変でしたね』
上司:『新入社員時代は資料作成が下手で、上司に作った資料を何度も破られたことがあったんだ』
部下:『マネジャーにも、そんなことがあったんですか!意外です』
上司:『うん、かなり出来の悪い新人だったよ』
このような感じで、部下に自己開示をします。
自己開示をすると返報性の原理がはたらきます。
返報性の原理とは「人は他人から何らかの施しを受けた場合に、お返しをしなければならないという感情を抱く心理のことです」。
したがって、上司の自己開示の後には、部下が自分の開示もしようと話をしてくれる可能性があります。
部下が『マネジャー、私も話を聴いてもらっていいですか?』と言ってきたら、1on1ミーティングの開始です。
部下の話をじっくり聴いてあげましょう。
このケースでは、理由②で部下が『特に話すことはありません』と言っていたことが把握できます。
自己開示しても、部下が何も言ってこなければ、『今日の1on1ミーティングはこれで終わろう』と言って1on1ミーティングを終了します。
次回の1on1ミーティングで部下が自分の話を始めたら理由②だったと把握できます。
次回以降も、部下が話をしない場合は理由③の可能性が高いです。
猛省し、上司や人事部門に相談し今後の1on1ミーティングをどうするかを決めてください。
最後にアクションプランの設定!
最後に、ステップ④を解説します。
1on1ミーティングの締めは、1on1ミーティングのまとめとアクションプランの確認になります。
ステップ③でまとめた部下の課題を確認し、その解決策である行動計画(アクションプラン)も部下に確認し、1on1ミーティング終了後から行動してもらいます。
次回の1on1ミーティングで行動計画(アクションプラン)の効果を検証することを約束し1on1ミーティングを終わります。
いかがでしたでしょうか?
最近、注目を浴びている1on1ミーティング。紹介した1on1ミーティングの具体的な進め方を参考に1on1ミーティングを実施して頂ければ幸いです。